近年結婚式で洋装を選ばれるお母様たちが増えてきました。そこでよくいただくご質問が、
「フォーマルドレスにはジャケットが必要ですか?」というものです。海外のドレススナップ写真で羽織りやボレロを着ている姿はよっぽど見かけないと思います。実はこの疑問には、日本独自の文化背景が深く関係しています。
和装時代の「羽織」の役割
もともと羽織は、武士の礼装用の上着として広まりました。明治~昭和にかけては、女性にとって欠かせない外出着でした。
特に昭和中期までは、
・若い女性は着物をそのまま着てもいい
・30代後半以降の既婚女性は「羽織を羽織らずに外出するのは恥ずかしい」とまで言われ、羽織は大人の女性の品位を示す必需品でした。外では必ず羽織を身につけ、室内では脱ぐ、これがマナー。
和装文化の影響が洋装にも
この「羽織を羽織るのがマナー」という感覚が、現代の日本の洋装にも受け継がれています。そのため「ドレスにもジャケットやボレロを合わせないと不安」と考える方が多いのです。
しかし実際には、羽織を足すことで古臭い印象になり、「それなら留袖の方がいい」という声をいただくことも少なくありません。
今の時代にふさわしい装いとは?
国際基準では、ドレスは1枚で完成された正礼装。袖があれば羽織ものは不要です。
むしろ1枚で着こなすことで、スッキリ洗練さが際立ち、留袖以上に現代的でスタイリッシュな装いになります。
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